diary/Kojima

・「ガールズ&パンツァー」の魅力(その5)

「ガルパン」のもう一つの特徴は,とにかく登場人物が多いこと. 戦車を操縦するためには,最低でも車長と操縦手,砲手の3人が必要で, それに加えて装填手や通信手,副砲手が必要な戦車もあったりするので, 一台の戦車あたり平均4人くらいのキャラが必要になる.

 CV33みたいに2人で操縦するのもあるけど

主人公のいる大洗女子の場合,最初の段階で5台の戦車があり, それを操作するための22人のキャラが設定されている.

 最終的には戦車は8台になって,大洗女子のキャラも32人になる上,
 ライバル校のキャラも10人くらい出てくるし,
 家族やら戦車道の教官,審判員等々含めると,
 各種設定のあるキャラは50人近くいるんじゃなかろうか

私自身,初見ではこれらキャラの多さにはとまどったけど, 一人一人の個体識別はできなくても, 各キャラは戦車単位のチームでまとまっていて, 出てくる時はみんな一緒なんで, 「このチームの娘」というのが分かればストーリーの把握には問題ないように作ってあるから, 「えっと,これは誰だっけ?」みたいなことは気にせずに見れる.

 何度も見てそれぞれのキャラが区別できるようになってくると,
 「あー,この娘はボケ的なキャラか」「この娘はツッコミタイプだ」というのが
 分ってきて,より面白くなる(w

これだけ登場人物が多いにもかかわらず,TVシリーズは1クール12話で, その中で2話ぐらいずつかかる戦車戦を4回(聖グロ,サンダース,プラウダ,黒森峰)やるため, 登場人物や人間関係の描写は必然的に少なくなって, 学園スポーツ物では必須の「マネージャーとのラブコメ」的な要素もないし (そもそも「ガルパン」世界には戦車戦の観客以外に男性は出てこない :-), さまざまな形で主人公の足を引っ張ろうとする悪役も存在しない. この手の群像ドラマでは必然的な,キャラクタ間でのライバル視やねたみ,そねみ, といった悪感情も一切描写されない.

 正直,戦車を避けるために転校してきた主人公に,無理矢理「戦車道」を強要する
 生徒会チームにはもうちょっと反発を感じてもいいんじゃないか,とすら思うくらい

このあたり,いわゆる「人間ドラマ」的なストーリーを期待する人々には物足りなく感じられるだろうし, 「本来人間の持っている内面的な葛藤に目をつむっている」云々的な評価すらされそうだけど, 「ガルパン」が描こうとしているのはそういう面倒な人間ドラマではなく, 「可愛い女の子たちがかっこよく戦車を操縦し,ライバルたちと正々堂々競い合う」というアクションドラマであって, それ以外の余分な要素を限界まで削ぎ落したシンプルでストレートなストーリーが いわゆる「人間ドラマ」的な描写に飽き飽きしている「おじさん世代」を直撃したように思う.

 実際,長く生きてくると,現実の生活の中でそういう「人間ドラマ」的なゴタゴタには関わらざるを得なくなるし,
 現実世界でそういう「ゴタゴタ」にわずらわされている分,アニメを見てる時くらいはそれから解き放たれたいわけで(w

その意味で「ガルパン」は「人生のありかたを考える」ような芸術性に富んだアニメではなく, あくまで「見てて楽しく面白い」というエンターティメントを目指したアニメなんだと思ふし、「4DX」という、よりエンターティメント性を増す機能が人気を集めたのは必然だろうなぁ,という印象.

 でも,劇場版をあれこれ見てきた結果,4DXの押しつけ的なエンターティメント性よりも,
 真正面から音響で勝負する劇場の方が面白かった.

この「見てて楽しく面白い」というのは,簡単そうに見えて実はすごく大変なんだ, というのが分ってくるのも,ある程度人生経験を経てきた「おじさん世代」の特性なのかも知れない(w (続く)



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Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:43