・「ガールズ&パンツァー」の魅力(その1)
今年の春ごろから「ガールズ&パンツァー」(以下「ガルパン」)にハマっていて, TVシリーズやOVA,劇場版のBluray購入は当然のこととして, 「劇場版」も通常版,4DX,4DXマシマシ版,4DXエクストリーム版,爆音上映等を映画館で12回ほど見て,音響の良さで評判の塚口サンサン劇場と立川シネマシティではTVシリーズ全話上映,OVA,劇場版、一式を見てきた.
立川と海浜幕張への遠征はこのブログにも書いたけど, 私自身なぜこれほど「ガルパン」に魅かれるのか, 少し自分なりに整理してみようと文章に書いてみることにした.
「ガルパンおじさん」は「ガルパンはいいぞ!」としか言わなくなる,というものの, その「ガルパンはいいぞ!」の中には,多分,おじさんそれぞれの想いが詰まっているので, 一度私自身の想いを吐き出してみようか,という試み.
個人的に感じる「ガルパン」の面白さは,まず第一に「王道の学園スポーツ物」だってこと.
「ガルパン」の場合,「乙女のたしなみ戦車道」ということで, 可憐な少女たちが戦車に乗って戦うというケレンに隠れているけど, ストーリーそのものは「才能はあるものの一度は挫折した主人公が, 転校先の学校で出会った友に支えられて再び立ちあがり, 仲間と共にさまざまな試練を経ながら強豪校を倒して勝ちあがり, 宿命のライバル(ラスボス)に勝って全国大会に優勝する」という, 「王道中の王道」なストーリー.
こういう「王道」的なストーリーは70年代前半くらいの少年マンガ(「キャプテン」とか)によくあったように思うけど, こういうストーリーが使われていくにつれて, 弱小校が強豪校を倒すための理由付けが欲しくなり, 次第に「必殺技」の競争になってしまって,80年代くらいにはこのジャンル自体が廃れてしまってように思ふ. 「野球」とか「サッカー」みたいなよく知られたスポーツの場合,弱小校が強豪校を倒す「ジャイアント・キリング」を実現するためには, いわゆる「必殺技」が必要になって,そういう「必殺技」のうさんくささが,このジャンルを下火にしていったんじゃないか.
最近では「修羅の門」の川原正敏が原作したサッカー漫画「ふでかげ」が,この王道ストーリーを復活させてたものの, 最後は個人の能力頼みになってしまって「うさんくささ」からは逃れられず、 天皇杯の決勝戦は第三者の語りで流すしかできなかった印象
一方,こういうスポーツ物の「王道ストーリー」のうさんくささを否定するような形で80年代に生まれたのが, 「ガンダム」に代表される世界設定のリアリズムによって作品の「リアルさ」を追求していくアニメで, その一つの究極が「エヴァンゲリオン」だった気がする.
「まどか☆マギカ」あたりもこっちに入るだろう.
それに対し「ガルパン」の場合は「戦車道」という架空の武道を設定することで既存のスポーツの枠を取り払うと共に, 「フラッグ車を走行不能にすれば勝ち」という「フラッグ戦」というルールによって, 5台くらいしか戦車が無い弱小校でも,数百台の戦車を有する強豪校(サンダースとか)に勝ちうることに合理性を持たせていて, この手の「王道ストーリー」の「うさんくささ」を感じさせないことに成功している印象.
「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」みたいに「設定のリアリティ」によって, 「王道ストーリー(=陳腐なストーリー)」を打破してきた80年代以降のアニメに対し, 「ガルパン」は「戦車道」というケレンを前面に出すことでかっての「王道ストーリー」を蘇えらせ, 子供のころそういうアニメやマンガに心ときめかせてきた「おじさん」世代のハートをわしづかみすることになったんじゃなかろうか(続く).