・最近読んだ本

「諸子百家<再発見>」(浅野裕一/湯浅邦弘 編 岩波書店)

近年,中国で発見された戦国時代から秦・漢にかけての墓から,諸子百家が活 動していたほぼ同時代の竹簡が多数発見され,それらを読み解くことによって, 従来通説とされていた諸子百家の各思想家の位置付けに大きな見直しが迫られ ていることを解説した本.

例えば,成立年代も著者も不明な「老子」が,前漢時代(BC168)の馬王堆から 発掘された絹本に記されていたり,さらに古い戦国時代中期の楚の貴族の墓 (BC300頃)で発掘された竹簡に記されていたりしたことが分って,従来の「老 子」の捉え方に大きな変換が求められているあたりは面白かった.

いわゆる「思想史」の世界では,それぞれの思想の類似性や包含性(A という 思想家の説を B が批判していたら,B は A よりも新しい)などから,「思想 史の編年」なるものを考えてきたけど,そういう頭で考えただけの理論は,実 際のモノが発掘されてしまうと砂上の楼閣のように崩れてしまう,という典型 的な例.だからといって「100 の理論よりも 1 の実装」と言ってしまうと牽 強附会の詆りを免れないだろうな(苦笑)



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Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:41