・今日は晴れたせいか、昨日よりはずいぶん暖かくなった感じ。まぁ、何だかんだ言ってももう3月も下旬で、あと一週間ちょっとで4月なんだなぁ。まだ片づいてない仕事が多々あるので、かなり鬱。。

・「さて其を彼ノ阿禮に仰せて、其ノ口に誦(よみ)うかべさせ賜ひしは、いかなる故ぞといふに、萬ヅの事は、言(こと)にいふばかりは、書(ふみ)にはかき取りがたく、及ばぬこと多き物なるを、殊に漢文にしも書クならひなりしかば、古語を違へじとては、いよいよ書キ取リがたき故に、まづ人の口に熟誦(つらゝよみ)ならはしめて後に、其ノ言の随(まにま)に書録(かきしる)さしめむの大御心にぞ有リけむかし。」(本居宣長「古事記伝(一)」)

「古事記」撰集の時点では、まだ日本語を書き記すための方法が確立していなかったから、いったん稗田阿礼に記憶させて整理した上で漢字の音を使いながら筆録したあたりの事情の解説。

人類学の世界でも、文字を持たない民族が豊富な口頭伝承を伝えている例はよく聞くところ。でも、彼らも記憶を保持・伝承するためにはすごく苦労しているようで、人類学者に語ることでそれらの物語を「紙」という外部に固定してしまうと、数世代後にはすっかりそれらを忘れてしまう、という例も聞いたことがある。いわゆる詩の韻律も記憶しやすくするための工夫だとも言うし、我々のように文字によって固定された情報で学習し、コンピュータという外部記憶装置すら持っていると、人間の記憶能力の凄さが分らなくなっている気がする。



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Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:41