[[diary/Kojima]]

・最近読んだ本

「夏王朝  中国文明の原像」  岡村秀典/講談社学術文庫

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史記などでは殷以前の王朝として言及されている夏王朝について,現代の考古
学的な研究を中心に,どの程度実像が明らかになってきているかを紹介した本.

夏王朝については,続く殷王朝と共に疑古派からはその実在を疑われていたけ
ど,発掘調査等によって王朝の中心と言うべき宮殿の遺構が見つかったり,さ
まざまな生活用具が出てきたりで,殷との境目は必ずしもはっきりしないもの
の,その実在は考古学的にも確実になってきているらしい.

個人的には,酒を用いた儀礼のためのさまざまな道具がこの時代に生まれて,
それが後に「礼」として整えられていったあたりの話は,興味深いとともに
時代を越えた酒呑みの親近感を感じることもあったり(笑

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・甲骨文字クイズその4

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答 16: 秋  17: 南土受年

16 はどうみても「虫」じゃないか,と言われそうだけど,こういう虫が作物に
付く季節の意味で「秋」の意だそうです.後にこのような虫が実った作物(「禾」) 
に付いているのを「火」で焼くような文字に変化して,その後「虫」の部分が
落ちて「禾」と「火」から,現在の「秋」の文字が生まれたそうな.

17 は一文字目は「ダン(ナン)」と呼ばれる楽器の象形で,その音から「南」と
いう意味に使った(仮借)文字だそうです.二文字目は土盛りの象形で「土」

三文字目は問11にあった「受」で,四文字目は禾(か:穀物が実った形)を捧げ
る人の象形で,「みのり」や「収穫」という意味からそれらを得る「年」とい
う意味に使われるようなったとか.

これらを組み合わせた「南土受年」は(甲骨文字が刻まれるのは,占いの場面な
ので),「南(方)の土(地)はみのり(年)を受けるか」という,収穫の有無を問う
内容だそうです.

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