・最近読んだ本(マンガじゃないよ :-)

「日本の偽書」 藤原明/文春新書

いわゆる超古代史とかの世界で有名な「上記(うえつふみ)」や「竹内文書」、 「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」、「秀真伝(ほつまつたえ)」、「先代旧事本紀」といった有名な偽書を取り上げて、そのような書物が生まれた背景や作者の分析のみならず、なぜこの手の「偽書」が受け入れられて流布してきたのかといった部分まで踏み込んで分析した本。新書サイズなのであちこちにかなり端折っている部分が見られたけど、資料調査も綿密で、いろいろ新しい知見があったり。

著者が取り上げている「言説のキャッチボール」という概念は、本書では取り上げられていなかったけど、平田篤胤が天狗に拐われて異界で修行してきた寅吉からの聞き書きとして著した「仙境異聞」あたりが典型的な例だと思う。

# もちろん「仙境異聞」は著者等を偽った「偽書」ではないから取り上げられないのは当然だろうが。。

また、これら偽書が生まれてきた背景に、中世の幻想的な日本紀解釈があった旨の指摘は、この前読んだ中世日本の異教的世界を紹介した「異神」あたりとも関係していて、結構興味深いものがあったり。

鎌倉新仏教の興隆に対応して平安仏教(密教)が土俗的な要素を採り入れて秘教化していくあたりは、インドにおける中期密教(=日本密教)がヒンドゥー教の再興に押されて後期密教(タントラ密教=チベット密教)として変容していくあたりとパラレルな関係にあると考えると、密教思想の展開と変容というあたりで整理ができそうな気もする。

ほとんどの人には意味不明の戯言だと思うので、むりやり Plamo 的なところに振ると(笑)、フリーソフトウェアの場合、開発者とユーザの間で「言説のキャッチボール」ならぬ「ニーズのキャッチボール」みたい現象が起きて、ちょうどジャズの improvization 的な感じで進化していくような気がしている。多分、そういう過程で自分自身、思いもつかなかったものが生まれてくるといったあたりがフリーソフトウェアとかを開発している醍醐味な気がする。



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Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:41