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・最近読んだ本

「中華名物考」 青木正児/ワイド版東洋文庫

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古きよき時代の中国学(当時は支那学かな)のあり様を伝えてくれるような本.
「名物考」というのは,中国の古典等に現われている物の名前を古今の文献を元に考察して,
それが何にあたるのかを考えるという,ある意味,浮世離れした学問の際たるものだけど,
昨今の「すぐに役に立つ」学問に汲々としている身にとっては,こういう世界をうらやましく思う反面,
PC のような外部記憶装置がない時代で,これだけの文献を調べて整理するのは何とも大変だったろうなぁ,,と思う一冊.

例えば,清の時代の「炒麺」は「やきそば」ではない,「油脚」「茶脚」「酒脚」の「脚」とは何か,
日本語のほととぎす(子規)とかっこう(郭公)は中国のそれと逆ではないか,中国の橙は日本の柚子だ,
とかそういった話が,それこそ「楚辞」のあたりから明,清の日用書までを引きながら論じられていて,
この手の話が好きな人間にはずいぶん面白く読めた.

東洋文庫は,正式版(?)はハードカバーでケース入りの重厚な感じなんだけど,
ワイド版だと(値段は変らないくせに)ソフトカバーで本としての質感はずいぶん見劣りする感じ.
でも,布団に寝転がって読むなら,こっちの方がいいかも知れない(笑

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