[[diary/Kojima]]

・最近読んだ本

「図解雑学 諸子百家」 浅野裕一/ナツメ社

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東北大学大学院の浅野先生の本は平凡社新書の「儒教 ルサンチマンの宗教」以
来あれこれ愛読しているのだけど,ナツメ社の「図解雑学」シリーズに採用さ
れるようになったかと思うとちょっとびっくり.

さすがに「図解雑学シリーズ」というだけあって,右 1 ページが文章で,左
1 ページはこんな感じの図になっている

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浅野先生の主張は,従来の孔子聖人説を根本から覆して,「孔子は夏・殷・周,
三代の礼学に通じていると主張して門人を集めたが,その礼学は自分ででっち
あげたものだ」とか,儒教の根本矛盾として「もし孔子が有徳の聖人ならば徳
治主義(有徳の聖人が天命を受けて政治を行う)は孔子に至って破綻したことに
なる.また,徳治主義が依然として正しいのだとすれば,孔子は有徳の聖人で
はなかったことになってしまう」等々,従来の常識を揺がすものだけど,孔子
=聖人説のフィルターを外して改めて「論語」等を読むと,浅野先生の主張の方
が,孔子を聖人に祭りあげようと無理して解釈している従来の説よりもはるか
に納得できるところ.

# 「蒼天航路」あたりを読んでいる人間としては,合理主義者の曹操の儒教嫌いは浅野先生の主張に通底するのだろうなぁと想像したり.

個人的には,伝統的な中国学(=孔子聖人説)からは異端とも言える浅野先生の説
が「図解雑学」シリーズに取りあげられるほど一般に認められるようになった
かと思うと感慨深いものがあるのだけど,書いてある内容は既知のことばかり
だなぁ,,と思ったら,元ネタになっている講談社版の「諸子百家」は単行本
も学術文庫版も持っていた... orz

単行本版(2000年4月発行)の「諸子百家」

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学術文庫版(2004年11月発行)の「諸子百家」

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この時代の中国哲学はまさに百花繚乱で,ソクラテス以前のギリシア哲学と並
んで興味をもっているのだけれど,同じ内容の本を3冊も買ってしまうというのは
ちょっと不注意だったなぁ..(苦笑

# 昔は本屋で中身を見てから買ってたのでこの手のダブりはチェックできたけど、最近だと Amazon 等でタイトルや著者名だけで買ってるからなぁ。。

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